バレエ

バレエ音楽の名曲一覧|三大バレエと作曲家

更新: 中島 瑠璃
バレエ

バレエ音楽の名曲一覧|三大バレエと作曲家

バレエ音楽とは、踊るために書かれた劇場音楽であり、19世紀後半まで作曲家にとっては職人仕事と見なされていた。1841年初演のアダン『ジゼル』が近代バレエ音楽の幕開けとなり、その延長線上で『白鳥の湖』『眠れる森の美女』『くるみ割り人形』へとつながる流れが見えてきます。

バレエ音楽とは、踊るために書かれた劇場音楽であり、19世紀後半まで作曲家にとっては職人仕事と見なされていた。
1841年初演のアダン『ジゼル』が近代バレエ音楽の幕開けとなり、その延長線上で『白鳥の湖』『眠れる森の美女』『くるみ割り人形』へとつながる流れが見えてきます。

子どもの頃からのレッスンで耳に残っていた旋律が、大人になって再開した最初のバーのプリエで同じ形のまま戻ってきたとき、体より先に耳が場所を思い出しました。
『白鳥の湖』の「情景」や『くるみ割り人形』の第13曲のように、断片では知っていても作品名に結びつかない曲が多いからこそ、この記事では作曲家、作品、曲の三層で整理していきます。

中心にあるのはチャイコフスキーの三大バレエですが、ただ有名だから並べるのではありません。
アダン、ミンクス、ドリーブが築いた19世紀の地層の上に、チャイコフスキーが交響曲並みの密度を持ち込んだからこそ、バレエ音楽は舞台の機能音楽から聴く音楽へと重みを増しました。

網羅リストで疲れさせる代わりに、最後は目的別に聴き始めやすい入口まで案内します。
ディヴェルティスマンやパ・ド・ドゥのような用語も、その都度すぐ意味がわかる形で追っていきましょう。

バレエ音楽とは|舞台の伴奏から独立した音楽へ

バレエ音楽は、踊るために書かれた劇場音楽です。
交響曲や協奏曲のように音だけで完結するのではなく、振付や物語と同時に立ち上がるところに本質があります。
だからこそテンポや小節数は踊り手の動きに縛られ、作曲家には制約の多いジャンルでしたが、その制約の中で場面を語る力が磨かれていきました。

踊るための音楽と、聴くための音楽の違い

バレエ音楽が難しいのは、舞台上の動きとぴたりと噛み合わなければならないからです。
曲が盛り上がるだけでは足りず、跳ぶ、止まる、回るといった身体の呼吸に合っていなければ、舞台は成立しません。
再開してすぐの頃、レッスンのバーで流れるピアノを何の曲か意識せずに踊っていたのに、ある日先生に『眠れる森の美女』の一節だと教わって耳が変わった、という経験はその違いをよく示します。
以後は、足だけでなく音の流れも拾うようになります。

『ジゼル』以前は誰も本気で書かなかった

19世紀後半まで、バレエ音楽は『芸術家』ではなく『職人』の仕事とみなされていました。
劇場付きの作曲家が振付家の注文どおりに書く分業体制で、音楽それ自体が評価されることは少なかったのです。
その前提があるからこそ、後にチャイコフスキーの音楽が「交響曲的すぎる」と批判された事情も見えてきます。
1841年初演のアダン『ジゼル』は、この空気を変えた最初の決定打でした。
特定の人物や感情に旋律を割り当て、音楽が物語を語り始めたことで、バレエ音楽は伴奏から作品へと引き上げられたのです。

この流れの上には、アドルフ・アダン(1803年生)、レオン・ミンクス(1826年生)、レオ・ドリーブ(1836年生)がいます。
ドリーブはアダンの弟子でした。
1870年5月25日にパリ・オペラ座で初演された『コッペリア』でも、舞台の推進力として音楽を扱いました。
さらに後のチャイコフスキー三大バレエでは、その役割がいっそう明確になります。

全曲版と組曲版|同じ作品でも聴く長さが変わる

同じ作品名でも、全曲版と組曲版では聴く体験がまったく違います。
全曲版は2〜4時間規模で舞台の上演に対応し、組曲版は有名曲だけを20〜25分ほどに抜粋した演奏会用です。
『白鳥の湖』の「情景」「四羽の白鳥の踊り」「黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ」、『眠れる森の美女』の「ローズ・アダージョ」、『くるみ割り人形』の「金平糖の精の踊り」や「花のワルツ」のように、名曲一覧で目にする曲の多くは組曲版に入っています。
初めて全曲版のCDを買ったとき、有名な旋律にたどり着くまで30分以上かかって戸惑ったことがありましたが、あれは組曲版との違いを知らずに選んだ失敗でした。

場面を知って聴くと、旋律の色が変わります。
『白鳥の湖』で聴くのか、『くるみ割り人形』で聴くのかで、同じワルツでも耳に残る温度は違うはずです。
だからこそ、レッスンでも鑑賞でも、曲名だけでなく「どの場面の曲か」を結びつけて覚えてみてください。
おすすめです。

チャイコフスキー三大バレエの名曲

チャイコフスキーの三大バレエは、『白鳥の湖』『眠れる森の美女』『くるみ割り人形』の3作で、作曲順も初演順もこの並びになります。
19世紀後半のバレエ音楽が「踊るための伴奏」から、劇場で独立して味わえる音楽へと変わっていく流れを、そのまま体現した作品群だといえるでしょう。
しかも3作は約15年の間に書かれており、チャイコフスキーがバレエに注いだ関心の深さがよく見えます。

作品作曲初演劇場代表曲
白鳥の湖1875〜76年1877年ボリショイ劇場情景、四羽の白鳥の踊り、黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ
眠れる森の美女1888〜89年1890年1月15日マリインスキー劇場序奏とリラの精、ローズ・アダージョ、ワルツ、パノラマ
くるみ割り人形1891〜92年1892年マリインスキー劇場金平糖の精の踊り、お菓子の王国、花のワルツ、パ・ド・ドゥ

白鳥の湖|初演は不評、1895年の改訂で定番になった

『白鳥の湖』は1875〜76年に作曲され、1877年にモスクワのボリショイ劇場で初演されましたが、最初の評価はきびしいものでした。
指揮者が複雑な楽譜を扱いきれず、舞台装置や振付も二流、さらに主役に予定されていたバレリーナが降板するなど、条件が悪く重なったのです。
それでも音楽そのものは、白鳥の主題が浮かび上がるほど精妙でした。

不評の理由として「交響曲的すぎる」と批判された点も見逃せません。
つまり、劇場用の伴奏にとどまらない、音楽としての強さが当時の場には合わなかったわけです。
ところが作曲者の死後、プティパとイワノフによる改訂版が1895年にマリインスキー劇場で上演されると、作品は一気に定番へ変わりました。
現在上演される『白鳥の湖』の多くがこのプティパ=イワノフ版を元にしているのは、その改訂が作品の骨格を決めたからです。
聴くなら「情景」「四羽の白鳥の踊り」「黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ」を押さえましょう。

生で聴いたときに印象が変わる曲でもあります。
再開後に初めて劇場で観たとき、オーボエが白鳥の主題を奏でる「情景」が流れた瞬間、会場の空気がすっと変わりました。
CDで何度も聴いていたのに、舞台ではまるで別の音楽のように感じられたのです。
あの一曲だけは、ぜひ劇場で聴いてみてください。

眠れる森の美女|三大バレエで最もシンフォニックな一作

『眠れる森の美女』は1890年1月15日にマリインスキー劇場で初演され、三大バレエの中でも最もシンフォニックな規模を持つ作品です。
初演時の上演時間は4時間半に及び、バレエでありながら交響曲のように大きな設計で組み立てられています。
物語の運びを追うだけでなく、音楽そのものの厚みを味わう作品だと考えると、聴き方がぐっと広がります。

聴きどころは明快です。
冒頭の「序奏とリラの精」は作品全体の気品を決め、王女オーロラが4人の求婚者と踊る「ローズ・アダージョ」は長い呼吸で緊張を保ちます。
「ワルツ」は舞踏会の華やかさをそのまま音にし、「パノラマ」は場面転換そのものを音楽で支えます。
物語より音楽の充実で選ぶならこの作品、という評価は誇張ではないでしょう。

くるみ割り人形|チェレスタが生んだ金平糖の響き

『くるみ割り人形』は1891〜92年に作曲され、1892年にマリインスキー劇場で初演されました。
最大の特色は、第2幕に名曲が密集していることです。
第10曲「お菓子の王国」から、第12曲のディヴェルティスマン、第13曲「花のワルツ」、第14曲パ・ド・ドゥへと進み、祝祭の空気が一気に高まります。
ディヴェルティスマンは物語を進めない「余興の踊り」の集まりで、チョコレート、コーヒー、お茶、トレパック、あし笛の踊りが並ぶため、性格の違いを聴き分ける楽しみがあります。

この作品を決定づけたのは、「金平糖の精の踊り」で使われたチェレスタです。
1886年にパリで開発されたばかりの楽器を、チャイコフスキーは1891年にパリで見つけ、本格的に使った最初期の作品にしました。
ガラス細工のような響きは、お菓子の国という舞台設定とぴたりと重なります。
子どもの頃の発表会で「花のワルツ」に合わせて踊った記憶があると、大人になって全曲版を聴いたときに驚くはずです。
あの曲は、単独で完結した名旋律であると同時に、第2幕の終盤に置かれた祝祭の音楽でもあります。
おすすめです。

三大バレエ以外の定番演目と作曲家

アドルフ・アダン(1803年生)、レオン・ミンクス(1826年生)、レオ・ドリーブ(1836年生)は、19世紀のバレエ音楽を代表する3人です。
生年がちょうど一世代ずつずれているため、作品史の流れも追いやすいでしょう。
『三大バレエ』のあとに視野を広げるときの自然な橋渡しにもなります。
しかも3人の代表作は今も上演頻度が高く、発表会や抜粋上演で耳にする機会も多い。
名作の名前を覚えるだけでなく、どの場面の音楽がなぜ使われ続けるのかを押さえると、鑑賞の解像度が上がります。

アダン『ジゼル』|物語と音楽が結びついた最初の名作

アダン『ジゼル』は、近代バレエ音楽の起点とされる作品です。
村娘ジゼルの純朴な旋律が前半を支え、第2幕では精霊ウィリたちの冷たく漂う音楽が、舞台全体の空気を一変させます。
物語の感情の起伏が、そのまま音の色合いとして立ち上がるからこそ、踊りと音楽を別々に味わうのではなく、ひとつの драмatic な流れとして受け取りやすいのです。

アダンは『海賊』も書いており、こちらは華やかなパ・ド・ドゥが単独で踊られることが多い作品です。
教室の発表会で使われる曲を数年ぶんまとめて振り返ると、抜粋で踊られる曲は『ドン・キホーテ』と『眠れる森の美女』に偏っていましたが、そこに『海賊』が加わると、習う側が身体で覚える定番の輪郭が見えてきます。
名曲リストの上位にあるかどうかより、実際に何度も踊られてきたかどうかが、バレエ音楽の実力を測る物差しになるでしょう。

ミンクス『ドン・キホーテ』|発表会の定番はここから

レオン・ミンクス(1826年生)の『ドン・キホーテ』は、発表会とコンクールの定番供給源です。
キトリのヴァリエーションやグラン・パ・ド・ドゥが抜粋で踊られる頻度が高く、バレエを習う人が最初に体で覚える曲のひとつになっています。
音楽の強い拍と明快な起伏が、ステップの見せ場をはっきり支えるため、振付の断片だけ切り出しても成立しやすいのです。

ミンクスは『ラ・バヤデール』も手がけ、こちらの影の王国も代表的な場面として知られています。
抜粋で広く親しまれるのは、音楽が踊りの訓練と相性のよい構造を持っているからで、旋律の覚えやすさとテンポの押し出しがそのまま上達の記憶に残ります。
名曲として聴くときより、実際に踊るときの方が印象は一段はっきりします。
そこがミンクスの強みです。

ドリーブ『コッペリア』|師アダンから受け継いだ旋律美

レオ・ドリーブ(1836年生)の『コッペリア』は、1870年5月25日にパリ・オペラ座で初演されました。
人形コッペリアを巡る喜劇で、マズルカやチャルダッシュといった民族舞踊のリズムが明るく鳴るため、三大バレエの悲劇性に疲れたときの息抜きとして勧めやすい作品です。
初めて映像で観たとき、悲劇のバレエとの落差に驚いたことがあります。
踊りも音楽も終始明るく、鑑賞のハードルが低い作品があると知ると、人に勧める順番まで変わってくるものです。

見逃せないのは、ドリーブがアダンの弟子だったという師弟関係です。
『ジゼル』で開かれた「音楽で物語る」路線が師から弟子へ受け継がれ、その延長線上でチャイコフスキーが交響曲的な密度を持ち込みました。
この流れをつかむと、バレエ音楽史は作品ごとの孤立した名作集ではなく、受け継がれた書法が少しずつ洗練されていく一本の線として見えてきます。
『シルヴィア』まで含めて聴き比べると、ドリーブの旋律美がどこで完成したのかも追いやすくなるでしょう。

20世紀のバレエ音楽|バレエ・リュスが変えた景色

20世紀初頭、セルゲイ・ディアギレフ率いるバレエ・リュスは、バレエ音楽を舞台の付属物から前衛芸術の中心へ押し上げた。
若い作曲家に新作を委嘱する仕組みが定着したことで、劇場付き作曲家が踊りに合わせて書く旧来の分業は崩れ、音楽そのものが舞台の表情を決める時代が始まる。
ここから生まれたストラヴィンスキー、プロコフィエフ、ラヴェルの作品は、20世紀のバレエを知るうえで外せない。

ストラヴィンスキーの三大バレエ|火の鳥・ペトルーシュカ・春の祭典

ストラヴィンスキーの三大バレエは、『火の鳥』1910年、『ペトルーシュカ』1911年、『春の祭典』1913年で、すべてディアギレフの委嘱によるバレエ・リュスの作品です。
わずか4年のあいだに、ロシア民話から人形劇、原始宗教の生贄へと題材を広げながら、音楽の重心を旋律からリズムへと移していった流れが見えてきます。
『火の鳥』初演時、28歳のストラヴィンスキーはまだ無名に近い存在でしたが、舞台は大成功でした。

3作の並びは、そのまま聴き進める順番の目安にもなります。
『火の鳥』は勧善懲悪のわかりやすさがあり、『ペトルーシュカ』では不穏さが増し、『春の祭典』になると身構えたまま押し切られるような緊張感になるからです。
予備知識なしで『春の祭典』を通して聴いたとき、最後まで緊張が抜けず、あとで初演当時の騒動を知って納得した経験がありました。
初心者は『火の鳥』から入るほうが、作品の変化を追いやすいでしょう。

作品初演年題材音楽の性格
『火の鳥』1910年ロシア民話旋律が立ちやすく、入口として親しみやすい
『ペトルーシュカ』1911年魂を持った人形の物語不協和とリズムの緊張が前に出る
『春の祭典』1913年生贄を捧げる原始宗教の物語旋律よりも拍節の圧力が強く、前衛性が際立つ

プロコフィエフ『ロメオとジュリエット』|重く歩む騎士たちの踊り

プロコフィエフ(1891〜1953)は、『ロメオとジュリエット』と『シンデレラ』を残した作曲家です。
鋭角的なリズムと大音響でモダニズムの顔を見せるいっぽう、思わずはっとする美しい旋律も書ける人で、その両面が最もよく見えるのがバレエ音楽でした。
舞台では物語、身体、音色が同時に動くため、作曲家の二面性がそのまま立ち上がります。

『ロメオとジュリエット』の「騎士たちの踊り」は、キャピュレット家の舞踏会で、仮面をつけて忍び込んだロメオが目にする場面の音楽です。
重い鎧をまとった騎士たちが威圧的に踏み鳴らすように踊る印象が強く、テレビ番組やCMで耳にして、あとからプロコフィエフのバレエ音楽だと知って驚くことがありました。
バレエ音楽は劇場の外にも広がっていて、日常の中に紛れ込んでいるのです。

ラヴェル『ボレロ』|反復だけで踊りを立ち上げる

ラヴェルの『ボレロ』もバレエ音楽ですが、19世紀的な発想とはかなり違います。
2つの旋律をひたすら反復しながら、楽器の数と音量を少しずつ積み上げていく構成で、旋律の展開よりも音色の変化そのものがドラマになります。
踊りを前へ押し出すのは新しいメロディではなく、同じ素材を繰り返しながら密度を増す時間の圧力です。

この作品が面白いのは、単純さがそのまま高揚に変わるところでしょう。
聴き手は「次に何が来るか」よりも、「どこまで膨らむか」に引き込まれ、舞台では動きの反復が視覚的な推進力になります。
『火の鳥』や『春の祭典』のような劇的な変化とは別の方法で、20世紀のバレエがどこまで表現を拡張できるかを示した作品だと言えるでしょう。

どの名曲から聴き始めるか|目的別の入口

名曲をたくさん覚えるより、まずは耳に残る1曲を起点にしたほうが入りやすいです。
親しみやすさなら『くるみ割り人形』の「花のワルツ」、物語の流れを感じたいなら『白鳥の湖』の「情景」から始めると、旋律の輪郭がつかみやすく、舞台や発表会で再会したときの手応えも生まれます。
刺激が欲しいなら『火の鳥』へ進む道もありますが、入口は自分の目的に合わせて選びましょう。

まず1曲だけ聴くなら|花のワルツと情景

再開してから初めて『くるみ割り人形』組曲を通しで聴いたとき、20分ほどで有名曲がすべて出てきて拍子抜けしました。
むしろこの短さだからこそ、家事をしながら繰り返し聴けて、作品の印象が自然に積み上がっていったのです。
1曲だけ選ぶなら、旋律が明快で初見でも構造が耳に入りやすい「花のワルツ」か「情景」が扱いやすく、しかも公演や発表会で再会する確率が高いので、入口として無理がありません。

目的別に入口を分けるなら、親しみやすさ重視は『くるみ割り人形』組曲、物語ごと味わいたいなら『白鳥の湖』全曲をあらすじと併読、音楽の規模で選ぶなら『眠れる森の美女』、刺激が欲しいなら『火の鳥』から20世紀へ進む道筋が見えます。
最初から網羅しようとすると肩に力が入りますが、入口を1本に絞ると、次の1枚を選ぶ基準まで見えてきます。

組曲版から全曲版へ広げる順番

最初の1枚は組曲版がよいです。
『くるみ割り人形』組曲は約20〜25分で全8曲、有名曲がほぼ網羅されているので、短い時間でも作品の核をつかめます。
全曲版から入ると、有名な旋律にたどり着くまでに時間がかかり、途中で離脱しやすい。
まず組曲版で「知っている曲」を増やし、そのあとで全曲版に広げる順番のほうが、聴く楽しみが途切れません。

公演前に代表曲を3曲だけ予習して劇場に行ったことがあります。
すると、知っている曲が流れた瞬間に舞台の場面と音楽が噛み合う感覚がありました。
それ以来、予習は全曲ではなく数曲に絞っています。
舞台鑑賞は、全部を覚えてから行くより、代表曲を2〜3曲持って行くだけで十分に深くなります。
まずは短い組曲で慣れ、気に入った作品だけ全曲へ進みましょう。

レッスンで流れているあの曲の正体

習っている人にとっては、稽古場で流れている曲の正体を確かめる楽しみがあります。
発表会のヴァリエーションは『ドン・キホーテ』『眠れる森の美女』からの抜粋が多く、自分が踊った曲が作品のどの場面なのかがわかると、踊りの意味が後から立ち上がってきます。
音だけで練習していた曲が、物語の中でどんな役割を担っていたのかを知ると、次のレッスンの集中の仕方まで変わってくるはずです。

次に鑑賞する公演が決まっているなら、演目の代表曲だけ予習する方法が最も費用対効果が高いでしょう。
全曲を予習する必要はなく、代表曲を2〜3曲知っているだけで、舞台上の場面と音楽が結びつく瞬間が生まれます。
レッスンで流れた旋律が『くるみ割り人形』なのか『白鳥の湖』なのかを確かめながら聴いてみてください。
作品への距離が、ぐっと縮まります。

この記事をシェア

関連記事

バレエ

三大バレエとは、白鳥の湖、くるみ割り人形、眠れる森の美女の3作を指すクラシックバレエの代表作で、いずれもチャイコフスキーが手がけています。白鳥の湖は1877年、眠れる森の美女は1890年、くるみ割り人形は1892年に初演され、名前は知っていても「どれが誰の何の話か」が混ざりやすい三作品です。

バレエ

プリンシパルは、バレエ団の階級制度における最高位で、研修生、コール・ド・バレエ、コリフェ、ソリストの上に立つ称号です。名前の横にこの肩書きが並んでいても意味がつかめないと、公演サイトのキャスト表を見ても、どの日の舞台を選ぶべきか判断しづらいでしょう。

バレエ

バレエの発表会で踊る演目は、全幕作品から選ぶよりも、一場面や一幕の抜粋、あるいは群舞から始めるほうが無理のない選択である。大人になってバレエを再開し、初めて発表会の演目を選んだときに全幕の主役へ憧れたとしても、先生に勧められて群舞から入ると、舞台を心から楽しみやすくなる。

バレエ

ワガノワ、RAD、チェケッティは、クラシックバレエの教授法として国ごとに発展してきた三つの流派である。中島瑠璃が子どもの頃に8年習ったバレエを大人になって再開したとき、通った教室で習った腕の運び方が昔と少し違い、あとからメソッドの差だと気づいたように、名前の違いはそのまま教え方の違いにつながります。